戦争ネタなのにとってもライト!この世界の片隅に見てきたレビュー

[まとめ買い] この世界の片隅に (アクションコミックス)

みなさまごきげんよう!

嗚呼蛙でございます!

 

映画『この世界の片隅に』見てきました。戦争モノのアニメ映画ということで、あまり見たくないなーと思っていた映画でしたが、嫁たんに付き合って見に行ってみたら、意外と良い映画でビックリでした。

本当に意外とかなり良い映画だったので、見てない人は見た方が良いんじゃないかと思います。

 

ということで今日は、この世界の片隅にの感想です。

 

 

 

 

 

この世界の片隅にの概要

この世界の片隅には、同タイトルのマンガが原作のアニメ映画。

広島市江波に生まれた、絵を描くことが大好きなすずさんが、18才で軍港の街呉へ嫁に行き、そこでの日常を描くというお話です。

 

監督・脚本は、『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直、主役すずの声優には、連続テレビ小説『あまちゃん』で主演を務めた能年玲奈こと、のんさんが起用されています。

 

原作は、『漫画アクション』にて2007年1月23日号から2009年1月20日号まで連載。2011年8月5日に日本テレビでドラマ化もされているそう。結構昔の作品なんですね。 


『この世界の片隅に』(11/12(土)公開)本予告

 

 

この世界の片隅にの感想

戦争モノを視聴する上で不安な2つの要素があまり入っていなかった

戦時中の広島が舞台ということで、視聴前に2点ほど心配事がありました。

1つは、火垂るの墓とか、はだしのゲンとかみたいな戦争悲惨映画なんじゃなかろうかという点。もう1つは、女性の描かれ方についてです。

 

映画を見ると大体2時間も時間を消費することになります。コストをかけるからには、楽しい気分にさせてくれる作品を見たいわけですよね。

「戦争の悲惨さを後世に」みたいな映画は、見ても全然楽しくはならないですし、学生時代に見せられた分でもうお腹一杯だからあんまり見たくないという点がひとつ。

そして戦時中というと、今よりももっと女性が虐げられていた時代の話になるので、不愉快なエピソードや、描写が入るのは確実ですから、許容範囲内で収まるかという点がひとつです。高畑勲監督のかぐや姫の物語なんかには相当不快感を与えられて数日ムカムカしたので、できればあまり同じような気持ちにはなりたくないんですよね。

 

とまあ、そんな懸念を抱きながら見に行ったのですが、取り越し苦労でしたね。

登場人物がみんな前向きなためか、全く悲惨さを感じないというか、それを跳ね除ける活力を感じる映画だったので非常に驚きました。戦争の描かれ方というか、空襲などに対する人々の反応や対応が、地震や台風などの自然災害に対するそれのような感じで、とてもライトです。

女性の扱われ方も、時代設定の割には許容範囲内で、ツッコミを入れずに見ればさほど不快にならずに見ることができました。主人公が女性であり、かつ、話が色恋に寄っていないため、あまり女性が記号的な扱いを受けていなかったので、その点は中々良いと思いました。

 

たぶんこれまでで一番リアルな戦争映画

自分の持っている戦争映画のイメージは、過度な美化か、過度な悲惨化のどちらかでした。兵士の生き様、死に様か、民間人の悲しみ、憤り、無力感みたいな。

この世界の片隅には、そのどちらでもなく、戦時下の日常を描いています。出来事や感情の表現が過剰でなく、淡々と日常が描かれていくんですよね。戦争映画見てると、兵士は毎日戦いに備えていて、民間人は毎日爆弾が落とされて家が燃えて辛いみたいな印象を持つんですけど、実際は何事もなく終わった日もあったはずですよね。その何事もない日がちゃんと描かれているので、とてもリアルに感じます。あと、登場人物が全然泣かない点もリアルさを増している感じですね。

日本人ってあまり感情を表に出さないところがありますし、地震があっても津波があってもどうにかこうにか暮らしていっているので、戦時中もそんな感じだったんじゃないかと、この映画を見てて思いました。

 

絵と音とのんはやっぱり良かった

絵と音とのんは評判通りでどれもすごかったです。

昔の資料を集めたり、取材したりして、可能な限り当時を再現している映画と聞いているので、たぶん本当にこういう風景だったんだろうなとかも思います。戦闘機や爆撃の音も本物を知らないけど、たぶんすごく緻密に再現してるんだろうなって音で、聞いてるとちょっと怖いくらいでした。

のんはヤバイです。言葉にできないヤバさでした。ハマり役です。

 

泣かない登場人物、唯一の泣き顔シーンの意図は?

先ほども書きましたが、作中では登場人物がほとんど泣きません。泣くシーンではカメラから顔を背けるようにして、ほとんど声だけで表現されています。これすごく良い表現方法だなと思ってみていたのですが、こうも泣き顔を避けられると、いったいどこで主人公のすずさんの泣き顔が出てくるのかが気になってきます。

 

いつどんなタイミングで来るのかと待っていたら、すずさんは終戦を告げるラジオ放送を聞いた後、いままでの頑張りはなんだったのか、何も知らないぼんやりした自分のまま死にたかったと泣きます。

ここで初めて泣き顔が描かれるんですが、自分としては「なんでここなんだろう?」とちょっと疑問に思ってしまいました。なんでも周りに従ってきた結果への後悔なのか、成長や自立のシンボルなのか、この辺はまだちょっと悩むことになりそうです。

 

なんかまとまらないですが、ざっとこんなようなことを感じました。

 

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まとめ

  • この世界の片隅には良い映画でした

自分にとって人生で一番最悪な出来事は女に生まれたことなので、その最悪さを再認識させられるものは可能な限り見ないようにしています。こういう再認識率の低い作品が増えてくれたらいいなと思いますね。

 

 

では、今日のところはこの辺で。

嗚呼蛙でした。